ドット講座「LOST PLANET」PTX-40A編。
@第一回です。今回は
・我流の構図のとり方
・二種類の絵の描き起こし方
・陰影のつけ方
・エッジ立て、タイルグラデーションの使い方
を紹介しています。
判りづらいかもしれませんが…製作途中の絵を見ながら
何かの参考にして頂ければ幸いです。
今回描くのはXbox360、PS3、モバイル、PCゲームとして展開している「LOST PLANET」より、
主人公機の「PTX-40A irvan」です。会社でこのゲーム遊んで大ハマりしてしまいました……。
サイズは「SRC 第二次α風ステータスインクルード」に参考サイズとして収録されていた
96×96ドットサイズ、色数は16色以内、作成ソフトにはドット絵ツールで使い勝手の良い
「EDGE」を使用しています。
説明もEDGEの使用を前提としていますので、持っていない方はダウンロードして頂く
必要があります。インストール不要、容量もフロッピーに収まる位なのでさほど時間はかからないと思います。
@第一工程・ラフ@
・紙にでも何でもラフを描いたら、そのポーズを意識しつつ
適当に線(骨組み)を引いていきます。
見栄えの良いものを描きたいときはここが重要になります。
とはいえ、このままでは何を描くのかまるでわからないですが…。
構図としては、キャンバスの三隅ないしは四隅全てを埋めるものが「良い構図」と
されるため、なるべく大きく描いていきましょう。
構図で注意する点としては、今回のように横向きのドット絵を描く際は
体の奥に位置する部分ほど小さく、やや上にくるように描きます。
これは意図的にサイズや位置を変えて遠近感を出すためで、大きさを演出する際には
奥のものを小さく描くほど大きなものを描いているように見えます。
目線の位置(見上げるor見下ろす)や描く対象の大きさ(ロボットorキャラ)によって
異なる場合もありますが、大概はこの手法でなんとかなります。
左右反転して、バランスがおかしくなければ次に移ります。
紙のラフを含めて作業時間は計4,5分ほど。納得いかないともうちょっと長いです。
@第二工程・ラフA
・第一工程でラフのポーズを描いたら、新規レイヤーに「清書のラフ」を描きます。
色の違う線で、資料を見つつ丁寧に各パーツを描いていきます。
自分の場合は体、腰、肩、足、腕、頭の順(この機体に頭は無いですが)に
描いていますが、第一でちゃんとバランスが取れていればどこから描いても
あまり変な形にはならないと思います。
人型ロボの場合は基本の四肢と体、飛行機や戦車のような機体は
必要なパーツを描きこんでおくようにします。尚、製作後は第一工程のラフは消しても構いません。
どの道、ここまでのラフは最後には消してしまいますので、形がとれればOKです。
作業時間はここまでで計25〜30分ほど。後の仕上がりに影響するので丁寧にします。
@第三工程・ボディ作成@(線画描写法)
・新規レイヤーを作り、第二で描いたラフに合わせて新しい色で線画を描いていきます。
資料を参考に、細かい線は気にせず輪郭と大まかな部品構成を描いていきます。
線画ができたらベースの色で塗りつぶし、一段目、二段目と影を描いていきます。
影付けに明確なルールはないですが、光のあたる方向と描いているものが「立体物」だという
意識をもって描きます。この機体だと頭頂とわき腹はなめらかな丸や楕円、
前方のハッチと腰周りは角ばった形です。角の部分はグラデーションが無い方がドットが映えます。
右側の二つの絵は角のラインを明るい色にする「エッジ立て」をやってます。
実際に光が当たって無くても、適度に使えば角ばったイメージを強調できるので効果的です。
製作時間はここで10分そこいら、計40分くらいです。
@第四工程・ボディ作成A(ボディ細部)
・更に影を追加し、パネルライン等のモールドを書き込んでいきます。
エッジ立てした部分の色合いを薄くし、淡い影を増やしています。
モールドを描く時はその深さにつき色の濃度を変えるのも大事です。また、
線画の主線もちょくちょく修正しています。
右の絵では陰影で股間部のやハッチの凸モールドを書き加えたほか、
色を増やして赤いセンサーやエッジの数を増やしました。
テクニックというほどのもでもないですが、エッジや光沢の部分の隣(影になる部分)
に影よりも暗い色を少し置くと、よりエッジを強調したり金属らしさを出したり、
バイクなどを描く時はメタリックな質感のように見えたり、今回のような作業機械系メカだと
ダメージや水汚れのように見えたりと、汎用的に使えるのでところどころで使うと便利かもしれません。
@第五工程・ボディ作成B(ボディ仕上げ)
・光沢の影部分に一段暗い色を置く作業を繰り返し、わき腹などの曲線部分の影に
タイルグラデーションを施します。
レーシングマシンのような光沢を出したいときはあまり使えないですが、ツヤの
ない無骨な装甲を表現するときにはうってつけです。
また、第四工程では解説してないですがエッジだけでなくベース色よりも明るい色でハイライトを作って
装甲の角(光が左上から当たってると考えましたので、左上)にハイライトを置いています。
無骨さ重視だとハイライトはあまり置けないですが。
また、明るい部分や細かい部分は主線を消したり薄めたりしています。ひとしきり終えたら
背景を真っ黒にしたり真っ白にしたりなどして、不自然じゃないかチェックします。
それ以外だと光の照り返し(土や床、壁も光を反射します)を描き加え、リアルに見えるように
しています。更にモールドを描き込んだら右のように色合いを修正していきます。
アニメ調ならばともかく、リアル調に仕上げる際は所々に違う色合いを混ぜるとよりそれらしくなります。
今回の場合は機体色のクリーム色に、一部に青い影を使用しています。
これでボディは完成です。作業時間はここまでで計1時間ほど。
@第六工程・手足作成@(塗りで作成)
・線画を使わず、塗りと陰影で手足を作成します。
背景のラフはちょっと邪魔になりましたので、色を薄めて描いた部分をわかりやすくしました。
新規レイヤーを作りベースカラーで形を作ったら光沢を塗っていき、ハイライト、影、最後にタイルグラデーションで
仕上げます。円柱の部品なので、一番暗い影を左右のフチに配置して奥行きを出しています。
@第七工程・手足作成A
・六工程と同じ要領で手足を作っていきます。一応アニメーションを考慮して
手と足は違うレイヤーで作っています。
余談ですが、スパロボのようなアニメーションにしたり上腕が複雑な形状をしている時は
上腕・下腕でレイヤーを分けても良いかもしれません。
また、手足に限ったわけではないのですが、手前よりも奥の部品の方が一段ないしは
二段暗い色で作成した方が立体的に見えます。
自分だけかもしれませんが、間接は折角描いたのに目立たなくなる事も多いので
最後に描いたほうが手間が省けます。
この状態で左右反転して変でなければ、手首と足首を描いて仕上げます。
拳は一番上の指(主に親指と人差し指)の形状と手全体の厚みにさえ気をつければ、
結構格好よく仕上がります。パーを描く時はその限りじゃないですが。
製作時間は1時間30分ほど。
@第八工程・武器・仕上げ@
・第七工程で解説した手首を作り、新規レイヤーに背中のバックパックとガトリングガンの
シルエットを描いてバランスを調整します。
この時は、全体を3ドットずつ左に移動させました。
その後、新規レイヤーを再び作り左腕のVSキャリバー(仕込みチェーンソー)を
描き加えます。小さい部品なので塗りで作成し、平らな面のフチを少し暗くして
ツヤ消し表現をした以外はあっさり仕上げました。
@第九工程・武器・仕上げA(完成)
・バックパックとバルカンを描き込みます。
手足の間接部もそうですが、バックパックのメイン色は青系の色(間接のベースカラー)で
描き、ハイライトをボディのベースカラーで塗ることで色数を節約しています。
出来上がり後は背後のラフを消し、左右反転や背景の色を変えて全体を微調整していきます。
ボディはここまでの段階でまた結構いじりまわしてたりします……。
ちなみにバックパックで色を更に二色追加していますが、計15色で一応一色だけ余裕があります。
製作時間は計2時間ですが、しばらく置いてから見ると変に見えたりしますのでまた修正したりなどしています。
なので、厳密な製作日数でいえば三日くらいかかってます。
@おまけ
・どのドット絵講座でも言われていますが、パレットの色は部品ごとに分けると便利です。
私見ですが、ラフを描いたらパレットの「未使用色の削除と整理」を実行していらない色を削除してからの方が
余分な色を作らず、作業をしやすいです。
ちなみに配色は一番左から背景色(透明色)、本体カラー、センサー、Tエナジー炉、間接です。
例として、本体の色変え+少しの修正で、量産機の「PTX-140」を製作してみました。
こういった改変が楽なのも、パレット整理のいいところです。
これ以外にも色々な描き方でドットを打っておりますので、
また何か参考にできそうなものがあったら種類を増やします。
@参考サイト等
・ドット絵を打つ上で参考としているサイトです。
リンクしているわけではないのでURLは貼っていません。検索をお願いします。
・TAKABO SOFT NETWORK
「EDGE」の配布サイトです。
まずはここでソフトを入手するところから始めます。
ドット絵についての基礎を見たり、掲示板で様々なドット絵を見ることも出来ます。
見ることも出来ますが……自分は匿名の恐ろしさもここで知りました。
・ツクールWeb
元々は「デジタルファミ通」というページでした。
ページ入って右上の「ツクラー広場」に基礎から学ぶドット絵作成法があります。
小さいアイコンからキャラまで色々です。
・ドット絵師の墓場
様々な人がお題を出し合い、ドット絵を提出し、評価批評を行う事をメインとしたサイトです。
自己アピールをして仕事の募集をしたり、逆に企業の求人に応募するなど、仕事に関する話も
出来ます。
ドット絵講座のコーナーには失敗しやすいポイントの解説が掲載されています。
・手前みそ工房 ドット道
サイトの「手前みそ工房」はアダルト絵も扱っているので、そういうの苦手な人は「ドット道」
もワードに入れて検索してください。
基礎中の基礎、「ドット絵とは何か」から、ドットの見え方、構図、パレット、
アニメーション等、必要なことがほぼ全て詰まった実践的なサイトです。
ドット絵の失敗ポイント等に関して結構辛辣に書かれていたりもしますが、
全てを乗り越えた先に光明が見えてくる……はずです。
業界で活躍している人で、更に詳細な解説の内容に参考データや追加の講座等等を収録した
書籍も出版しております。